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身体にフィットする人気チェア「Sylphy」の開発秘話に迫る。オカムラデザイナー・井澤晶一さんインタビュー

日本を代表するオフィス家具メーカー、オカムラが開発した、「Sylphy(シルフィー)」というチェアをご存知でしょうか?Kagg.jpで取り扱っているチェアのなかでも、今一番人気のある商品です。

そんな人気チェア「シルフィー」の魅力と、製品開発のこだわりについて、デザインを担当した井澤 晶一(いざわ しょういち)さんにお話を聞いてきました!

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株式会社オカムラ デザイン本部 プロダクトデザイン部
第一デザイン室 室長 井澤 晶一さん

── はじめまして。今日はよろしくお願いします!

こちらこそ、よろしくお願いします!

── 早速ですが、井澤さんがデザインを手がけたチェア「シルフィー」の特徴を教えてください!

特徴は、背面の横のカーブを変えられることですね。さまざまな体型の方にフィットするチェアを目指し、調整機能を豊富に搭載しています。

コストパフォーマンスの良さと、シンプルなデザインも魅力です。

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シルフィー

── Kagg.jpでも、シルフィーは特に人気があって。お客さまからの評判もすごく良いです。

ありがとうございます。シルフィーは、数あるオカムラのチェアの中でも一番人気と言える商品ですね。

── どんな商品コンセプトなのでしょうか?

シルフィーは、企画の初期段階から「身体にフィットするチェア」というコンセプトで設計・デザインを進めていました。

特にこだわっていたのは、背面のカーブをどう変化させるか、です。

── 背面のカーブ、と言いますと?

他社さんの製品だと、「ランバーサポート」という腰部をサポートするパーツがついていることが多いのですが、シルフィーでは「バックカーブアジャスト機構」というレバーを調節することによって、背面の横のカーブの形状を絶妙に調整できるようにしました。

これは、なかなか類を見ない機能なんです。製品化にあたって、一番時間を費やしたと言っても過言ではありません。

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── 具体的には、どうやってその機能を実現させたんですか?

まず、オカムラ社員約100名の腰のカーブを3次元定規で測定し、データを取りました。体格の大きな人から小柄な人まで、さまざまな体型の方が使いやすい商品にしたかったんです。

そこからは、カーブをどう変化させるか、色々な素材を使って試作品を作っていきました。実際に座ってみて改善点を洗い出し、設計メンバーと議論を重ね、の繰り返しです。

シルフィーは、背面の素材をメッシュとクッションの2パターンから選べるのですが、どちらも同じようにカーブを調整できる仕様にするのは、特に骨の折れる作業でした。素材違いとは言っても、実質はイスを2つ作るのと同じですからね(笑)。

── 想像以上に大変な道のりですね…。

そうですね。普段は都内のオフィスで勤務している私も、シルフィーの開発期間中は毎日のように工場通いでした。都内から神奈川の追浜まで、往復4時間30分かけて(笑)。

── なんと!それだけ熱量をもって取り組まれていたんですね。「身体にフィット」という点で、他にこだわったことはありますか?

シルフィーは日本のみならず、世界各国でも販売できるように開発しています。「BIFMA規格」や「EN規格」という世界的なオフィス用家具の品質や寸法の基準に沿って設計をし、その要件をクリアしているんです。日本で言うところの「JIS規格」のようなものですね。

たとえばアメリカには色々な人種の方がいて、日本以上に体格のばらつきがあります。日本人だけでなく、海外の方にも快適に使っていただけるようにしました。

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── 機能面はもちろんなのですが、デザインに関しても、きっと並々ならぬこだわりがあるんですよね?

もちろんです。やはりデザイナーとして、見た目の美しさも決して譲れないポイントなので、デザインと機能性との両立にはこだわりました。

── チェアのデザインって、すごく難しそうです…。

そうですね。パーツも多いし、形状も複雑ですから。シンプルな長机に比べたら、2,000倍ぐらい作業量があります(笑)。

私はチェアのデザインをするとき、いつも壁に大きな紙を貼って、原寸大で絵を描くようにしています。その方が、実物を目の前にした時の印象を想像しやすくなるからです。

── たしかに、ミニチュア版よりも原寸大の方が分かりやすいですね。

余談ですが、いいデザインっていうのは何度見ても「いいな」と思えるんですよね。描き終えたときに「これで完成だ!」と思っても、翌日見るとなんだかしっくりこない、ということがあって。そういうのは、いいデザインじゃないと思っています。

シルフィーも、しっくりくるデザインに仕上がるまで、何度も手を加えましたね。

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── こうして誕生したシルフィーですが、発売後ずっと売れ行き好調だったんですか?

そうですね。おかげさまで、2014年の発売当初から好調でした。今でも、販売数は毎年伸びています。まさにヒット商品と言っていいと思いますね。

── 率直に、なにがヒットの要因だと思われますか?

最初の企画段階で、いかにコンセプトをはっきりさせておくか、が大切だと思います。市場ニーズの把握や価格設定に関しては、マーケティング部のリサーチがあってこそ。彼らが出した企画をどう料理するかが、デザイナーの腕の見せどころです。

たとえばシルフィーだったら、「身体にフィットする」というのは絶対に譲れないポイント。ここは徹底的にこだわりました。逆に削ぎ落としたのは、ヘッドレストの上下機能。必要な人とそうでない人に分かれるし、価格も高くなってしまうからです。カスタム的な要素は思い切って削っています。

── なるほど。ポイントをしっかり押さえて、あれこれ詰め込まないということですね。

そもそもチェアというのは、好みや使い心地が人それぞれ違います。すべての人に愛される商品をつくろうとするのではなく、しっかりとターゲットを見据えて製品開発をすることが大事ですね。

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── 井澤さんから見て、他社メーカーにはない、オカムラのチェアの強みとは何でしょう?

数多くのメーカーさんがオフィスチェアを販売しているなかで、オカムラとしてはメイドインジャパンであることに誇りを持っています。

また、オカムラは1945年の創業以来、「よい品は結局おトクです」をモットーに、高品質で先進的な商品を世に送り出してきました。創業70年を超える歴史で積み上げた、ものづくりの技術を注ぎ込み、世界で戦えるような商品を生み出しているのが強みですね。

── 井澤さんは今後、どんなチェアを手がけていきたいですか?

シルフィーの他にも、モード、コンテッサセコンダ、フィノラなど、さまざまなチェアのデザインを担当してきましたが、個人的には自宅でも使いやすいチェアをデザインしたいなと思っています。

コロナの影響で、在宅勤務がどんどん普及していますよね。オフィスで使っているチェアをそのまま自宅に置いても、機能としては十分だと思うんですが、どうしてもインテリアに合わないという問題が出てきます。あと、限られたスペースを作業場にしている方が大半だと思うので、従来のオフィスチェアだと場所を取りすぎる、という声もよく聞くんですよ。

自宅に置いておいても違和感のないデザインで、コンパクトかつ座り心地がいい、というチェアを、多くの方が必要としているのではないかと思います。

自宅に限らず、働く場所はどんどん多様化していくはずなので、時代の流れにあわせて求められるチェアを提供していきたいですね。

── 井澤さんが生み出すチェア、これからも楽しみにしています。本日はありがとうございました!

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(text by 澤木香織 / photo by 森田剛史)

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コメント (1)
シルフィーはランバーサポートがオプションで付けられるけど、これが固いプラなので痛いのなんの。サポーターなのに腰を痛めるという矛盾したつくり。そしてランバーなしだと中途半端なサポート。あと、やたらと座面が柔らかい。単純に腰の負担を少なくする作りではないと思う。残念ながら
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