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「全員が同じチェア」はもう古い?オフィスと家具の“新しいスタンダード”とは/ミスリルCEO孟山さんインタビュー

家具で「働く」を変えていく。
Kagg.jpをご利用いただいた方にお話を伺い、ワークプレイスへのこだわりをご紹介していく連載、「#K(ハッシュカグ)」。

今回私たちが訪れたのは、スマホゲームの開発・運用を手がけるミスリル株式会社全席に電動昇降デスクを導入し、7種類の高機能チェアから好きなものを選べる制度を採用しているのだそうです。

健康経営ブームなどを背景に、昨今は働く環境の重要性に注目が集まりつつありますが、それにしたって意識が高い。大きな会社ならまだしも、2016年設立のベンチャー企業が、そこまで環境にこだわっているのは何かワケがあるはず‥‥。

代表取締役CEOの孟山 嘉起(たけやま よしき)さんにお話を聞くなかで見えてきたのは、一歩も二歩も先を見据えた戦略的な“会社づくり”でした。

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社員一人ひとりに目を向けてオフィス家具を選ぶ

── 全席で昇降デスクを使っていると伺いましたが、どのようなきっかけで導入されたんですか?

孟山 オフィス移転のタイミングで、家具を刷新したいと考えていて。昇降デスクの導入は迷わず決めました。だって、人間には身長差があるでしょう?全員が一律で同じ高さのデスクを使うって、どう考えても理にかなっていない。実際に弊社には、150cmの小柄な女性から、190cm近くある男性までいます。それだけの身長差がある2人が同じ規格のデスクを使って、両者が快適に仕事ができるわけありませんから。

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── 昇降デスクについては、以前からご存知だったんですか?

孟山 はい。私は以前、大手インテリアショップや住宅リフォーム会社に勤めていた経歴があって、家具に関する知識はあるほうなんです。昇降デスクの存在はもちろん、欧米の多くの企業が導入していることも知っていました。

── 孟山さんは昇降デスクの価値をよく理解されていたようですが、全席での導入にあたって、周りから反対の声はなかったんですか?

孟山 私以外の経営層や総務に意見を求めたところ、やっぱり反対はありました。昇降デスクは一般的なデスクに比べて、なかなか高額ですからね。弊社が創業からまだ3年ほどの若い会社ということもあり、「この段階でここまでの投資が必要なのか?」と言われました。

── 反対があるなかで、導入に踏み切った経緯は‥‥?

孟山 反対の理由は「費用が高い」ということでしたが、僕はそうは思っていなくて。座りっぱなしを防いで健康増進に寄与すること、集中力が切れてきたときに立って作業することによる生産性向上などを考えれば、投資するだけの価値は十分にある
そしてなにより、弊社では「社員のみんなに気持ちよく健康的に働いてもらうこと」をとても大切にしています。その前提に立って昇降デスクの価格と導入によるメリットを天秤にかけたとき、ベストな選択は明白でした。

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── 実際に昇降デスクを導入されて、社員のみなさんの反応はいかがですか?

孟山 評判はとてもいいですよ! 特に先ほどお話しした身長190cmの社員は、「とても使いやすい、自宅のデスクも同じものにしたい」と喜んでくれています。

── 昇降機能にばかり注目していましたけど、デスクの幅もかなりゆったりしていますよね?

孟山 デスクの横幅は140cmあります。通常のオフィスだと100〜120cmくらいが一般的だと思うんですが、ダブルモニターで快適に作業するにはこの幅がミニマムかなと。今はオフィス面積の関係で難しいんですが、本当は160cmくらいほしいんですよ。今後またオフィスを移転するときは検討したいです。

── デスクだけでなく、チェアにもこだわっているとか?

孟山 チェア選択制度といって、社員一人ひとりが7種類のチェアから好きなものを選べるようにしています。

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── チェアまで自分に合うものを選べるようになっているとは、驚きです!どうしてこのような制度を採用したんですか?

孟山 私が会社勤めをしていたとき、チェアが合わずに悩んだことがあって‥‥。決して質が悪いものではなかったんです。ただ私の体には合わなかった。そのチェアで仕事をしていると、肩も腰も凝ってしまって、作業に集中できないんですよ。「早く家に帰りたいな」とばかり思っていました。

── そんな経験があったからこそ、オフィス環境の整備にこれだけ力を入れてらっしゃるんですね。

孟山 そうですね。働く環境を整えると、いい効果があると実感しています。弊社の場合はオフィス移転というきっかけがありましたが、そういう予定がない会社で家具を刷新するのはなかなか難しいかもしれませんね。ただ、状況が許すなら強くおすすめしたいです。

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社員満足度を高めることで強い組織をつくる

── 家具選びにここまでこだわるのはなぜでしょうか?

孟山 先ほども少し触れましたが、一番の理由はやっぱり社員に気持ちよく働いてもらうため。社員満足度はとても重視しています。

── “社員ファースト”を徹底されているんですね。

孟山 一緒に働く仲間を大切にしたいという想いもありますけど、社員満足度を高めることは、会社にとってもメリットが大きいんですよ。例えば、弊社は創業から離職者がゼロ。転職者が非常に多いこの業界で、仲間を失わず規模を拡大し続けられているのは、社員の声にきちんと耳を傾けているからだと自負しています。

── 離職者ゼロ!それは驚きです。

孟山 あとは、採用にもいい効果がありますしね。弊社ではリファラル採用が多くて。環境に満足してくれた社員が、優秀な人材を引っ張ってきてくれるんです。
採用にかかるコストって、本当に大きい。エージェントにお願いすると、一人あたり数百万円かかることもあります。それを考えたら、いいデスクやチェアを導入するのにかかる数十万円は安いくらい。オフィス環境を整えることは、人材を確保する戦略の一翼を担うと考えています。

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変化を恐れず選択を重ねた先に明るい未来がある

── オフィスづくりに関して先進的な取り組みをされているミスリルさんですが、どうしたらそんなアイデアが湧いてくるんでしょうか?

孟山 視野を広げることは重要だと思います。オフィスづくりに関して言えば、今年の初めにロサンゼルスへ会社見学に行きました。大手IT企業のオフィスを見せてもらって‥‥感動しましたね。

── 具体的にはどんなところに?

孟山 たくさんありますが、社内の施設が充実しているのはいいなと思いました。筋トレルームがあって、仕事中の空き時間など好きなタイミングで使える。栄養バランスの良い食事がとれる食堂もある。
あとは、社内イベントも盛んだそうです。私が訪れたときは、世界各国の文化への理解を深めるイベントや、社員の表彰式をやっていました。
これらに共通するのは、一緒に働く仲間に対する思いやりですよね。

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── たしかに。筋トレルームをつくるのはなかなか難しいとしても、イベントの開催は真似できそうですね。

孟山 そうそう。国内外を問わず他社の取り組みを学んで、“自社に合う方法”を選ぶことが大切なんです。ロールモデルを見つけるというより、選択肢を増やすようにするといいと思います。

── でも、新しいことを取り入れるのってエネルギーがいりますよね‥‥。孟山さんはどうして次々にチャレンジできるんでしょうか?

孟山 私の考えとしては、経営という常に選択を迫られていく状況のなかで、「現状維持」を選ぶこと自体がリスキーだと思っています。世の中が進歩し続けるなか、停滞という選択肢をとるのは本当に正しいのか。変化を恐れたり面倒くさがったりせずに、メリットとデメリットをしっかり洗い出して、きちんと正解を選ぶように心がけています。

新しいことをいち早くスタンダードにしていくのが、“私たちらしさ”なんです。もちろん、新しければなんでもいいという意味ではなくて、ちゃんと自分たちに合うもの、必要なものを吟味していますが。

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── じゃあ孟山さんは、今のオフィス環境にもまだ課題はあるとお考えですか?

孟山 今回の移転に伴う改革はひとまず成功だったと評価していますが、課題は絶対にあると考えています。ゲーム開発というクリエイティブな仕事は、成果を数値化したり、短期間で判断したりするのが難しいので、長期的に観察していく必要があるでしょうね。世の中も変化していくなかで、自分たちも変わり続けていくべきだと思っています。

── またなにか新しい取り組みをされるときは、ぜひお話を聞かせてください!本日はありがとうございました!

interview by Kagg note編集部 / text by 中島香菜 / photo by 森田剛史


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