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健康は、毎日の働き方にかかっている。すべての企業が早急に取り組むべきオフィス改革とは/早稲田大学・岡先生インタビュー

長生きしたければ座りすぎをやめなさい

センセーショナルなタイトルの著書で警鐘を鳴らすのは、早稲田大学スポーツ科学学術院教授の岡浩一朗さん。日本における座りすぎ研究の第一人者です。

テレビや新聞でもこの話題は大きく取り上げられていて、世界では「1時間座ると22分余命が縮む」「座りすぎはタバコより健康に悪い」とまで言われています。(やばい、このままじゃ死ぬ‥‥!)と危機感を覚えた方も多いはず。

会社員は1日のほとんどを会社で過ごしているのだから、オフィスでも座りすぎはNG。でも、その解決策とは一体‥‥?

いても立ってもいられず、Kagg note編集部は岡先生の研究室へとお邪魔することに。
デスクワークによる健康被害や、オフィスのあるべき姿、そして今話題の「健康経営」についても語っていただきました!

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今のオフィスは、働けば働くほど不健康になる

日本のオフィスワーカーは、はっきり言って座りすぎですね。特にデスクワークの人。ご自身でも自覚している方、多いんじゃないでしょうか。

座りすぎって、本当に怖いんですよ。活動不足→肥満→メタボ→脳卒中という負の連鎖。女性だと、脚のむくみとか冷えにも繋がります。今のオフィスは、働けば働くほど不健康になりますね。

せめて、いいオフィスチェアに座るっていう手もある。最近のオフィス家具は機能もどんどん進化していますからね。例えば、コクヨの『ing』とか。座面が360°に揺れることで太ももや臀部などの筋肉が動くので、代謝はよくなる可能性があります。

でも、それだけで肩こりや腰痛といったトラブルが劇的に改善するとは考えにくい。それに、肥満の解消になるほど体を動かせるわけではありません。

いいチェアを使えば万事解決!とはならないんですよね。

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必要なのは、“結果的に動いてしまう”環境

じゃあどうしたらいいのか。答えは簡単。意識しなくても、“結果的に動いてしまう”環境をつくることです。

例えば、オフィスを複数のエリアに分けます。一人で作業する場所、みんなで集まって会議をする場所、立ち話ができる場所‥‥といった感じで、それぞれのエリアに役割をもたせる。そうすると、各自が好きな場所に移動しますよね。1日の中で、オフィス内を行ったり来たり。これが、結果的に動いてしまうということです。

あちこちで作業できるほどのスペースがない場合は、立って仕事ができる昇降デスクを導入するのもおすすめ。私の研究室にもたくさんあって、みんな使っていますよ。

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でも、先ほどお話ししたオフィスチェアと同じで、これだけに頼るのはダメ。ただ立っているだけではなくて、動かないと。血流が滞ったり腰への負担が大きくなりますからね。なんでも「◯◯っぱなし」はNGということです。

真の健康経営は、オフィス環境の改善からはじまる

「いや、オフィスを変えるなんてムリムリ」と思った方も多いかもしれない。個々人でできることではないですからね。オフィス環境を変えていくには、企業のトップに理解してもらうのが唯一の方法と言ってもいい。社長が「明日から全員このデスク使ってね」って言ったら、一気に変わるでしょう?(笑)

少子化などを理由に働き手が減少している今、働く人たちの健康について真剣に考えることは、すべての企業が早急に取り組むべき課題。私は、オフィス環境の改善こそがその解決策、そして真の「健康経営」だと思っています。

健康経営って最近あちこちで流行ってますが、正直、言葉が独り歩きしている感が否めません。「健康経営の一環として運動会をやってます」なんて話をよく耳にしますけど、あれだけではどうかと思う。もちろん体を動かす機会を設けるのはいいこと。でも、単発の運動で健康状態が改善するとは言えません。

健康な体は、一朝一夕でできるものではないんです。毎日の働き方にテコ入れしなければ。そのためには、日々働いているオフィス環境を改善するほうがベターでしょうね。

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さらに言ってしまうと、本当に健康的な体をつくるためには、オフィスだけでなく自宅の環境も整えるのが理想的です。いくらオフィス環境がよくても、家で椅子に座りっぱなしじゃあ意味がないですから。生活環境をトータルでデザインできるようにならなければなりません。

とはいっても、個人が健康的な働き方について理解を深め、自宅で実践するのは難しいはず。オフィスこそが、健康への気づきの場になってほしいんです。

人が行動するには、やっぱり自分で変化を実感することが大切で。毎日長い時間を過ごすオフィスで改善を実感できれば、なんらかの気づきを得られると思うので、「家でもやってみようかな」という気持ちが生まれます。

今まで、健康管理は個人の努力に任される傾向にありましたが、そろそろ変わるべきとき。企業には、使命感をもってチャレンジしてほしいですね。

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失われたコミュニケーションをオフィス改革で取り戻せ

オフィスの環境を変えることで得られるのは、健康だけじゃないんですよ。社内のコミュニケーションも活性化できて、ソーシャル・キャピタルの改善にもつながるんです。

もう少し詳しく説明すると、人間は座っている人よりも立っている人のほうが話しかけやすいと感じるんですね。これは、座っている人が“閉じている印象”なのに対し、立っている人は“開かれている印象”を与えるため。だから、最初にお話しした立ち話ができるエリアや昇降デスクを導入することで、社内の雰囲気まで変えられる可能性は十分にあります。

これまでのオフィスづくりって、効率化ばかりが重視されてきたと思うんです。例えば、何台かの複合機をバラバラの場所に置くことで、自席から最小限の移動で使えるようにするとか。でも、それによって体を動かす機会が失われたり、顔を合わせる社員も限定されることでコミュニケーションの機会が奪われたりしている。

私たちは今、これまで便利さを追求するなかで捨ててきた“実は必要なもの”を取り戻すべきときを迎えているのかもしれませんね。

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オフィスづくりを見直すことは、社員を健康にすること、そして生産性の向上や働き手を失わない社会につながると教えてくれた岡先生。たくさんの企業が、一歩先を見据えたオフィス改革に取り組むことで、これからの日本を、すこし、明るくできそうです。

text by 中島香菜 / photo by 森田剛史


岡先生の書籍はこちら

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